あまりにも暖かく、美しい景色に見惚れていると、隣にいたウィリアム様が私に優しく微笑んできた。
「ここは俺のお気に入りの秘密の場所だよ。レイラをここへ連れて来たのは初めてだね?」
ふわりと笑うウィリアム様に私は思う。
レイラとはどちらのレイラのことを言っているのだろうか、と。
ホンモノのレイラ様も含めてなのか、ニセモノである私になのか。
…全くわからない。
考えてもわからないことを考えても時間の無駄だ。
私は早々にウィリアム様の言った言葉の真意について考えることをやめ、改めて美しい景色へと視線を向けた。
「綺麗ですね…」
ふらふらとウィリアム様から離れて、花を潰さないようにその場に腰を落とす。
それから目に付いた一輪にそっと触れてみた。
とても美しく愛らしい花だ。
おまけに太陽の光の影響か輝いているようにも見える。
「ここの花には特別な魔法が使われていてね。太陽の光を浴びると輝くようにされているんだよ」
「そうなんですね」
頭の上から聞こえてくるウィリアム様の説明を受け、改めて花のことをじっと見つめる。
この不思議な輝きは太陽ではなく、魔法によるものなのか。



