逃げたいニセモノ令嬢と逃したくない義弟と婚約者。






ウィリアム様はどうやらセオドアの前でも性格の良い完璧な人らしい。
ウィリアム様の性格の悪い完璧ではない一面をセオドアは知らないようだ。

では、何故、そんな完璧な人が急に私にあんな悪意のある行為と言葉を吐いてきたのか。

すっかり勉強する手の止まった私は机を何となく睨んで、うんうんと考え込んだ。


ーーー思い当たる節は一つだけある。
ウィリアム様もセオドアと同じように私がレイラ様の代わりであることが気に食わないのではないだろうか。
だから私に嫌がらせをしてきた。
怒りの表れとして。

きっとウィリアム様もセオドアと同じでレイラ様のことが大切でかけがえのない存在なのだろう。
ウィリアム様とレイラ様は幼馴染件婚約者なのだ。
普通に考えてそんなレイラ様に成り代わろうとするものがいるなんて到底許せないはずだ。
ウィリアム様なりの拒絶があの嫌がらせだったのかもしれない。



「…はぁ」



地雷のような男2人に愛されすぎるているレイラ様に私は小さく息を漏らした。
レイラ様がいない今、レイラ様の代わりにあの地雷2人組の相手をしなければならないのは私だ。

全ての地雷を踏んで焼け野原にしてしまいそうで怖い。