逃げたいニセモノ令嬢と逃したくない義弟と婚約者。





すごくすっごくおかしい気がする。
弟だからといって、ここまで口出しするものなのか?

しかもこんな口出しなんて日常茶飯事なのだ。
服装のことだけではなく、食の好みなど私に関することなら何でもセオドアは口出ししてくる。
それも姉さんはこうだ、といつもいつも私の隣で。

けれどどんなにおかしいと思っても貴族ではこれが普通らしく、没落寸前の男爵家の娘の私は何も言えなかった。



「姉さんの髪はまとめるな。ゆるく巻いて、それからハーフアップに。で、そこにこのパールの髪飾りを着けて…。あとメイクは…」



気がつけばセオドアは私の周りにいたメイドたちと私の身支度について真剣に話し始めていた。
ご本人である私を置いてけぼりにして。

…やっぱりおかしくない?貴族の姉弟ってこんなことまで口を出すものなの?貴族の価値観がわからないんだが。

その後、私はセオドアの指示の元、メイドたちの手を借りながら、身支度を済ませたのであった。
そして完成したのが、全身セオドアプロデュースの私だ。