「どうして2人とも馬車に乗っているの!?」
馬車の入り口まで来たレイラ様は、ウィリアム様とセオドアに切羽詰まった様子でそう叫んだ。
「姉さん。コイツはね、いずれ、今とは違う形で僕たちの家族になる人だよ。そんな家族を1人にするわけにはいかないでしょ?」
「俺たちは結婚するからね。彼女が行きたいという場所には一緒に行ってあげないと。ハネムーンだよ、ハネムーン」
「「は?」」
セオドアとウィリアム様が当然のように答えた答えに私とレイラ様は同じリアクションをする。
さっきから聞こえるセオドアとウィリアム様の主張が何だかおかしくて自分の耳を疑う。
「いやいやいや!アンタたちはレイラ様のことが大切で大好きなんでしょう!?それなのに何でレイラ様じゃない私について行こうとしてるの!?そもそも2人とも聞き捨てならないこと言っているし!なんか結婚仄めかしてるし!」
さすがにもう限界だと思い、全ての疑問をウィリアム様とセオドアにぶつける。
すると、そんな私を2人はとても不思議そうに見た。
「確かに姉さんのことは好きだけど、お前のとは違うよ。最悪だけど、僕はお前を1人の異性として愛してしまったんだ。だから僕はもう姉さんの代わりではないお前と結婚することにしたんだよ。未来の妻と共に行動するのは当然だろ」
「はい?」
おかしなものでも見るような目でこちらを見るセオドアに表情が固まる。
聞き間違いではないのなら、今はっきりセオドアが私のことを異性として愛していて、結婚するとか言ってきた?しかももう決定事項みたいに?



