私の返事を聞いたセオドアがそのまま私の横に腰を下ろす。
何で座ったんだろう?
居座るつもりなのかな?
私の横にいるセオドアを気にしながらも、せっかく起きたので、私は乾かしていた教科書を一冊手に取ってみた。
表紙は完全に乾いているが、中がまだ湿った状態だ。
だが、ここに持ってきた時には、水が滴っていたので、これはこれで上出来だろう。
私は完全に教科書を乾かしたかったのではなく、ただ持ち帰れるようにしたかっただけなのだ。
よし。もういいかな。
そう判断した私はせっせとその場に広げている教科書を一冊ずつ集め始めた。
「ねぇ」
そんな私にセオドアが突然冷たい声音で声をかける。
「お前、僕に何か言うことはない?」
「え?」
それからどこか責めるようにそう言われて私は戸惑った。
セオドアに言うことなどないからだ。
「ないと思うけど…」
「ふーん」
私の歯切れの悪い返事を聞き、セオドアはただただ無表情に私をまっすぐ見た。
その瞳が何故か仄暗い気がするのだが、気のせいだろうか。
「言わないつもりなんだ」
セオドアが何か呟いた気がしたが、私には聞こえなかった。



