なかなか居心地が悪かったが、私はただ耐えるしかなかった。
使用人たちはレイラ様のことがとても大切で、そんなレイラ様のことが不憫で不憫で仕方ないのだ。
だからこその行動だとわかっていたので、私は何も言えなかった。
そんな日々が続いたある日のこと。
学院にウィリアム様とセオドアと共に着き、馬車から降りると、何故かジロジロと不躾な視線を周りの生徒たちから向けられた。
今までとは明らかに違う視線に私は思わず困惑してしまう。
一体完璧なレイラ様に何を思ってそんな視線を向けているのか。
「ちょっとよろしいかしら」
嫌な視線に疑問を抱いていると、赤いふわふわの髪が特徴的な伯爵家のご令嬢、イザベラ・ノーム様が私にツンとした表情で話しかけてきた。
イザベラ様とは同じ学年だが、あまり話したことはない。何故、突然話しかけられたのか正直わからず、私は困惑した。
「どうされましたか?」
「…ここではちょっと難しいお話でして。2人で話したいのだけれどいいかしら?」
「…え」
イザベラ様からの突然の提案にますます意味がわからなくなる。
このような空気の中で、私だけを呼び出すとは何かありそうだ。
どうしたものかと、少し考えていると、私の右隣にいたウィリアム様が口を開いた。
「行っておいで、レイラ」
優しく微笑むウィリアム様だが、一体何を考えているのかさっぱりわからない。
そんなウィリアム様に続く形でセオドアも「早く行け」と言ってきた。
「…わかりました」
私は2人に背中を押される形で渋々イザベラ様と共に行くことを決めた。



