考えたいのに上手く考えがまとまらない。
頭の奥の方がズキズキと痛み、私の思考の邪魔をする。
腹痛と頭痛によってだんだん思考することさえも億劫になり始めた頃だった。
「…」
ベッドの横に冷たい表情でこちらを見下すセオドアが立っていたのだ。
な、何でまたセオドアがここに…。
いや、いつも貴族の姉と弟は常に一緒にいる、と言い、夕食後もよくセオドアはここへ来ていた。だから今もきっとここにいるのだろう。
「…セオドア、ごめん。今日はもう」
帰って。
そう、冷や汗を流しながらも何とか言おうとした。
したのだが。
「…寝てろ」
セオドアは私の言葉を遮り、自身の手で私の目を覆った。
「アルトワの者なら体調管理くらいちゃんとしろ」
それから冷たくそう言うと私からさっさと離れた。
相変わらず冷たいやつだ。
こんなにも弱っている人間に小言しか言わないとは。
そう思いながらも小さく呼吸を繰り返し、続く腹痛と頭痛に耐える。
そうしていると、カタンっとベッドの横に何かが置かれる小さな音が聞こえた気がした。



