「ありがとうございます・・・・・・」


 わたしはお礼をいいながらへたへたとその場に座り込んだ。


「大丈夫・・・・・・?」


 女の子が私に向かって手のひらを差し伸べる。わたしはその手をとり、どうにか立ち上がった。座り込んでしまったのは、スマホが見つかったという安心から来る脱力感だけが理由ではなかった。こんなに素敵な人が世の中にはいるんだと、驚いてしまったからだった。


 「もう大丈夫そうだね」と立ち去ろうとする女の子の肩に、今度は私が触れる。


「あの、名前は」


 そう言うと、振り返った女の子はふっと笑った。ひだまりのような、優しい笑顔で。


「佐藤虹羽です」


***