かつての光について

『次はー、海之前ー。海之前です』


車内アナウンスではっと目を覚ます。


スマホで時計を確認すると、もう十二時。


ずいぶん長い間寝てしまっていたらしい。


寝ている虹羽ちゃんを起こす。


「虹羽ちゃんっ。電車再開してたみたい。もうすぐ海之前だよ」


「ん?ん~。おはよぉ・・・・・・」


じきに電車は海之前駅について、わたしと虹羽ちゃんは駆けるように電車から降りる。


「わぁっ。きれいだね」


駅のホームからも海を見ることができて、わたしのテンションは上がる。


「できれば朝に見せたかった」


虹羽ちゃんが少し残念そうに言った。


「さっきもそんな感じのこと言ってたもんね。でも、今の時間の海もわたしは超きれいだと思う!虹羽ちゃんと見られればなおさら」


わたしがはにかむと、虹羽ちゃんが花を慈しむように笑った。


「それはよかった」


「じゃあ、行こう!海!」


改札を出て、すぐそこの砂浜を歩く。