通勤ラッシュの時間を越えたからか、電車はひどく空いていた。


わたしは虹羽ちゃんに促されるまま、虹羽ちゃんといっしょに優先席に座った。


「えっ、なんで優先席?」


はてなマークを大量に浮かべるわたしに、虹羽ちゃんが「んー」と間の抜けた声で言う。


「ちょっとワルいこと、たまにはしたくない?正当な理由がないのに優先席に座る、とかさ」


「・・・・・・よくわからないや」


そっかー、と虹羽ちゃんが笑った。


「まあ、車内ガラガラだし、座っててもだれも怒らないよ」


「・・・・・・そうだね」