かつての光について

なんだか背筋がぞおっとして、夏だというのにわたしは毛布にくるまった。


明日学校に行ったら、虹羽ちゃんに言おう。わたしは、虹羽ちゃんを殺すことなんて出来ないって。


***


「ふああ・・・・・・」


大きなあくびをしながら、わたしは電車から降りる。


いろんなことを考えてしまって、昨晩はよく眠れなかった。


スマホで時間を確認しようとすると、


「あれ?」


スマホが見当たらない。


さあっと血の気が引く。


やばい、この展開、デジャヴすぎる。


まあ、虹羽ちゃんがまたスマホを届けてくれるだなんて、まさかそんな都合のいいこと・・・・・・。


「浅井さん」


ぽん、と肩をたたかれる。


振り返ると・・・・・・虹羽ちゃんが私のスマホを右手に携えて立っていた。


「浅井さんはよくスマホなくすねぇ」


「・・・・・・ほんと、言えてる」


わたしたちは笑い合う。


「また席にスマホ置きっぱなしだったよ」


虹羽ちゃんからスマホを受け取る。


「あれ、じゃあ虹羽ちゃん、同じ車両に乗ってたってこと?」


そうだよー、と虹羽ちゃんが笑う。


「浅井さん、降りる直前まで爆睡してたから気付かなかったんだね」