かつての光について

わたしはおねえちゃんに「ありがとー」とだけ言って、二階から三階へと階段を駆け上がる。


自分の部屋にたどり着き、スクールバッグを床にほおりなげて、わたしはベッドにダイブした。


「ふろう、ふし」


わたしは小さくその言葉をつぶやいてみる。けれど、全然実感は得られない。


でも、虹羽ちゃんが嘘をつくとは思えない。


虹羽ちゃんはわたしの推しだから、ファンが推しを疑えないのは当然なのかも知れないけれど。


「・・・・・・」


虹羽ちゃん、わたしに殺してほしいって言ってたな。


頭の中で想像してみる。虹羽ちゃんが死ぬシーンを。


たとえば私と虹羽ちゃんが崖にいて。


虹羽ちゃんは崖のフチに立っていて。


虹羽ちゃんが、「殺して」と言って。


そして、わたしは虹羽ちゃんのその華奢な背中を押してーーー。


「・・・・・・っ」


そこまで想像して、わたしは身震いする。


虹羽ちゃんが死ぬなんて、絶対に嫌だ。