<現在>

凜生葉(りいは)
「あれは…ただの空元気だよ?」

純世(あやせ)
『それでも先輩に救われたのは事実です。』
『今度は僕が恩返ししたい、守りたいんです!』

凜生葉(りいは)
「私には守ってもらう価値なんてないよ…。」
「お母さんへの復讐のために迷惑かけて…。」
「私の心は恨みと憎しみで真っ黒だよ?」

純世(あやせ)
『いいじゃないですか、真っ黒でも。』

凜生葉(りいは)
「?」

純世(あやせ)
『僕だって真っ黒ですよ?』
『兄を壊し、僕を罵った母への恨みで。』

私は純世(あやせ)くんを
理解したつもりになっていただけだった。

まっすぐ立ち直ったように見える彼も、
消せない心の闇を抱えている。

なのに私は復讐に囚われて
それが見えなくなっていた。