凜生葉(りいは)
「なーに暗い顔してんの?よかったら聞くよ?」

大学に入っても孤立していた僕に、
凜生葉(りいは)さんは声をかけてくれた。

兄を救えなかった僕の後悔を、
凜生葉(りいは)さんはイヤな顔をせずに聞いてくれた。

凜生葉(りいは)さんは、暗い顔をした新入生に
気軽に声をかけただけだとしても、僕は救われた。

僕の表情はだんだんと明るくなり、
友達も増え、人生に光が差し込んだ。

あのときの凜生葉(りいは)さんは
双子の妹を失った直後だった。

僕はそのことを
凜生葉(りいは)さんが卒業する直前に知った。