兄は大学に入る直前に命を絶った。
あまりに突然で、僕は涙も流せなかった。



見つかった兄の手紙には『復讐』の文字。
兄は『母からの愛情』という人質を取られていた。

母の理想に届かなければ”できそこない”。
『見捨てられるのがイヤなら母の理想を演じろ』と。

兄がいつも僕に言っていた
『オレのマネなんかしないで』の真意は、
『オレみたいに母の操り人形になるな』だった。

息子を失った母の心には
一生消えない罪悪感が刻まれた。

それが兄の命を賭けた『復讐』
決して人を悪く言わなかった兄の…。