いつか「ほんと」になれたら


 そう期待しながら、咲凜の頬にキスを降らせた。
 
 
「エリック…?」
「ねぇ。今、燐人のこと考えてたでしょ?」
「ひゃっ、ご、ごめん」


 目に涙を浮ばせながら、僕を見つめる咲凜はひたすら可愛い。
 
 まっすぐな視線をくれるから、怖がられてはいないよね?
 独占欲に駆られて、違う人間になってしまいそうな気さえする。

 
 普段通りの僕でいたい。咲凜が好きになってくれた僕で。

 
「そろそろ僕を見て」
「も、ちろん」 


 咲凜を頬ごと染めるその色は、僕の髪と同じ赤色。
 せめてこの瞬間だけでも、咲凜が僕だけのものにならないかな。

 なんて、僕は欲張りだろうか。傲慢だろうか。
 そう思ってしまうけど、でも僕はやっぱり咲凜が欲しい。

 
「可愛い。愛してるよ」
「……わたしも大好き」


 咲凜のくれる“大好き”は、弾けるように眩しい。余計な感情抜きで、好意だけが伝わってくるから好きだ。
 僕が、世界で一番大好きな言葉。


 これからも、ずっと隣に居たい。
 僕は今まで直接言えなかった分も、溢れるくらいの愛を紡ぎ続けたい。