いつか「ほんと」になれたら


 心臓がすごい勢いで音をたてて、顔にぶわりと熱が集まる。


「エリック…?」
「ねぇ、また燐人のこと考えてたの?」
「ひゃっ、ご、ごめん」 


 耳にかかる吐息がこそばゆいとか、好きとか、いつもより低い声がかっこいいとか、大好きとか、嫉妬しているみたいな口調が愛おしいとか、世界の誰より大好きとか。
 
 色々なことが頭の中を埋めつくして、変な声が出てしまった。
 
 
「そろそろ僕を見て」
「も、ちろん」
「可愛い。愛してるよ」


 蕩けるようなエリックの笑顔に、くらりとする。
 こういうことを簡単に言ってのけるエリックは、ほんとにずるい。

 でも、この言葉は絶対に遊びなんかじゃない。
 抱きしめられたことで響く、わたしと同じスピードの鼓動がそう教えてくれる。

 
 全身から好きが伝わってくるから、わたしは幸せだ。
 
 
「……わたしも大好き」


 溢れるくらいの愛の言葉をくれたエリックに、わたしも少しでもこの気持ちを返したい。
 そう思って、真っ白な頭を必死に働かせる。

 全部、届いていたらいいな。

 
 そんなわたしに応えるように頬を赤く染めたエリックが甘すぎて、その後のパンケーキの味は分からなかった。