いつか「ほんと」になれたら

「……お兄ちゃん」
「やっぱり、こっちの方がしっくりくるな」


 燐人のその言葉に、咲凜は何か考え込んでいる。

 
 何をするつもりなんだろう。
 今まで通りの“燐人くん”の方がいいなんて言わないよね?

 さすがに、心配しすぎか。
 僕を好きだと笑ってくれた咲凜を信じて、待ってみる。

 しばらくそうしていると、彼女の中でも結論が出たみたいだ。
 
 
「ただいま、お兄ちゃん!」
「おかえり。咲凜」


 そっか……。咲凜はずっと、燐人からの「おかえり」を望んでいたから。
 燐人としても、これでさすがに自分の役割を見つけられたんじゃないだろうか。
 
 今、このタイミングで、この言葉を選んだことが咲凜らしい。