いつか「ほんと」になれたら


「絵本、勝手に持ち出したこともごめん」
「……燐人くんは、悪くないよ」
「僕も咲凜に賛成」


 自分の大切なものを奪った相手に対して、悪くないと言ってしまえる咲凜はお人好しだ。


 そんな簡単に許していいのか、とは思うけど、被害者である咲凜がそう言うなら。
 咲凜の優しさにも、お人好しなところにも惚れている僕は何も口出しをすることはない。
 
 
「2人のこと、好きでいられてよかった」
「咲凜がそう言ってくれるなら僕も、これから燐人のこと、好きになってみようかな」


 咲凜の好きなものも、大切な人も、僕は全部大事にしたい。だから、今まではライバル程度にしか思っていなかった燐人とも、仲良くなってみたい。

 意外と良い友達になれそうな気がする。


 そう考えながら燐人の方を見遣る。
 咲凜と似た笑い方をする彼が、ほんの一瞬だけその表情を曇らせたのを見てしまった。


 自分で言うのもなんだが、僕は、咲凜と仲直りした王子2人が人間に戻ってハッピーエンドかと思っていた。

 でも、まだ燐人の中の問題は終わらなさそうだ。