いつか「ほんと」になれたら


「ありがとう、エリック」


 そう微笑み返されただけで、胸がじんわりと温かくなる。きっと幸せってこういう気持ちなんだろうな。
 

「……ただいま」
「咲凜! おかえり、心配したよ」
「り、燐人くん?」
「大丈夫だった? 何か困ったことはなかった?」
「……うん!」

 
 咲凜がドアを開けると、燐人が部屋から飛び出してきた。気遣っても貰えて、咲凜的にはものすごく嬉しいだろうな。


「どうして泣くの?」
「嬉しかった、からかな」

 
 この2年間の目標が叶ったからか、咲凜の目からはひと雫の涙が流れた。夜空に溶けていく流星群のようで、とても綺麗だ。

 僕はもしかして、この場には邪魔者だっただろうか。
 そんなことを考えていると、突然に咲凜の纏う空気がほんの少しだけ、固くなった。

 
「あのね、燐人くん」


 その一言だけで分かる。
 咲凜は、僕のことを紹介しようとしてくれている。