いつか「ほんと」になれたら

 懐かしくさえ思える、家のドアノブを握る。わたしが燐人くんに期待して、その度に希望を打ち砕かれてきたドアだ。

 そんなことを思い出して、ドアノブを掴んでいた手を離してしまう。どうしよう。とてつもなく……怖い。

 燐人くんに避けられるのが怖い。


「咲凜。僕がついてるよ」
「ありがとう、エリック」


 震えていたわたしの手を、慣れた温もりが包む。春の雪解けのような、わたしが1番落ち着く優しい温度だ。
 
 大丈夫。きっとなんとかなる。
 だってわたしの隣には、エリックがいるんだから。


「……ただいま」