いつか「ほんと」になれたら

「十分すぎるほど分かってるよ。俺は、咲凜の側に居てはいけない」


 いくら仲のいい先輩だからと言って、親友を泣かせたことは許せない。うちとしては、これからもこの兄妹とは仲良くしていきたいと思っているから、できるだけきつい言葉を選ぶ。

 それこそえみりーみたいな、お伽話のような大団円エンドを願って。


 もしかしたら、えみりーの元には王子様とやらが迎えに来てくれるかもしれない。家出先で純恋ちゃんに溢れんばかりの愛情を注がれて、すごく幸せになるかもしれない。
 でも、そのハッピーエンドの世界で、幸せになれないのは燐人先輩なのだ。


「これは、その手遅れ状態をなんとかするための会議です!」
「今更無理があるんじゃないの?」
「いえ、絶対なんとかなります」


 うちの周囲の人たちはみんな、それぞれの“唯一の存在”がいる。
 例えば、えみりーには王子様がいて、艾葉には純恋ちゃんがいて、お母さんにはお父さんがいる。

 みんな、みんなそうだ。だからこそ、ひとりぼっちのうちは燐人先輩に親近感を覚えてしまうのかもしれない。


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