「藤宮さんってどんな男がタイプなのかな」

「俺ってどう思われてるんだろう」

「メッセージ送ったらキモいとか思われないかな」

「てか連絡先まず知らないわ俺…」

いつもとは違う、ネガティブなよなよ紫苑は
見てて面白かったけど、
それだけ紬のことが好きってことだと思って、
やっぱり悲しくなった。

でも、応援すると決めたからには
協力してあげたい。

好きな人の好きな人まで愛すのがオタクだ。
私は今日から紫苑のオタクになろう。

「紬は、優しくて誠実な人が好きだって」

「いい人だよね、優しいしって言ってたよ」

「紬はそんなことでキモいとか思わないよ!」

「うーん、教えてあげようか?」

対応してるとき、すごくなんか哀愁ただよった
感情になる。

いや、私はオタクだから。

「じゃあとりま心結の連絡先おしえて!
んでちょーだいっ」

あれ、私にもチャンスある?いやないか。
でも紫苑に連絡先教えて貰えるってことは、
嫌われてはないってことで合ってるよね?

「はい、これ私の。どうぞ」

心の中でガッツポーズした直後に、
でも紬には勝てないなあと、また悲しくなった。

最近の私悲しくなりすぎてる。
心に良くない、楽しく生きるべき。
よし、今日はヒトカラでも行こう。

「はい、紬の連絡先!もう紬から許可は得てるから!」

喜ぶだろうな、恋愛してる紫苑の顔みてみたいな。
そう思ったのに。

「え、藤宮さんになんて言ったの…!?」

急におどおどし始める紫苑。
でも私はそのために紬に対して少し嘘をついた。

「今度四人くらいで遊ぶ予定立ててて…あ、勝手に
立ててごめんね!?
その中にとりあえず紫苑はいるから、
紫苑と連絡先繋いどいて!」

「えー私、紫苑の連絡先の入手方法ない!」

「私が送るよ!」

という感じである。

我ながら、とても勝手だけど良い活躍を
したと思う。

「え、俺、藤宮さんと遊ぶの?まじ?」

やっと、待っていた嬉しそうな紫苑の顔がみれた。
今日はこれで良しとしよう。
好きな人の役に立った。すばらしいオタクだ。