キミに伝えたいことは。

「それじゃあ、席替えするぞー」
2限目、教卓の前に立った熊田先生が大きな声で言った。
その瞬間、教室が湧いた。
昔の私なら、喜んでいただろう。
でも、今は話す人なんていないし、誰が周りに来たって同じだろう、席替えに対しての好奇心は消えている。
「やった!」
「後ろがいい〜!」
周りからいろんな声が聞こえてくる。
「ええ、ここの席最高だったのに!」
逆に、悲しむ者もいた。
「俺草場さんと隣がいいな〜!」
「草場さんが可哀想だぞ、宮田」
行為を寄せている人と隣になることを願う者。
(うるさ…)
「先生くじですか?!」
「はい、静かにしろ!」
という熊田先生の言葉を境に、教室が静かになった。
少し、助かった。
「ここにくじを置く!名簿で並んで順番に引けー」
ぽん、と教卓の上にくじが入っている箱が置かれた。
私達は席を立って、名簿順に並んだ。
名簿番号1番から、順番に引いていく。
その間に熊田先生は黒板に席を書いて、数字を当てていく。
「俺どこ!?どこ!?」
「お前1番前だぞ」
「最悪!」
笑い声が聞こえる。
次は私の番だ。
目の前の箱に手を入れて、多数ある紙の中から、適当に引いた。
自分の席に戻って、紙を開いた。
紙の中に書かれた数字は『8』
8番の席は…あった、窓際の席だ。
まあ、いいところだな。
とりあえず、前の席じゃなくてよかった。
……りのちゃんは、どこだろう?
不意に思ってしまったこの思いに、急いで蓋をした。