家についたら花をバケツに移して倉庫に移動する。
それが終わったら着替えて親父と合流する。
「親父ー、俺の鋏、どこ?」
「俺の道具差しに入れっぱなしだ。昨日借りた」
「親父の鋏、買い換えろよ」
「研いだらまだ使える」
「じゃあ研げよ」
準備ができたら運転席へ。親父が乗り込んだら車を出す。
今日は一日駅前の街路樹と花壇の手入れだ。
夕方には終わる予定だから、シャワーを浴びて着替えて、花音ちゃんとの約束に備えよう。
しばらく走ったところで親父が顔を上げた。
「そういえば今日、商店街の青年会があるんだ。藤乃、来れる?」
「無理。約束ある」
「由紀んとこの……花音ちゃんか。なら仕方ないな。たまには顔出せよ」
「ていうか、そういうのはもっと早く言ってくれよ」
「俺も行きたくねえから、ギリギリのまで忘れてんだよ」
「飲み会嫌いだもんね」
「飲むなら、気心の知れた相手と一緒のほうが楽しいだろ」
「それはわかる」
駅前に着いたらまずは雑草を刈り取る。
俺が大まかに刈って、親父が細かいところを丁寧に仕上げていく。
汗が止まらなくて、メガネがずり落ちる。それでもコンタクトにはしない。怖くて、無理。
子どもが使ってるような、後ろでゴムで止めるバンドを試してみるか……。見た目はイマイチだけど、メガネが邪魔なのも事実だし……。
雑草を片付けたら街路樹を刈り取る。落ちた枝を捨てて、次に低木も同じように形を整えて午前中はおしまい。
周りを掃いていたら、警察官に話しかけられた。
「藤乃」
「朝海か。どうしたんだ?」
「どうもしないが、見かけたから声をかけた。そうだ、ついでにこれを」
渡されたのは防犯ポスターだ。隣りにいる婦警さんがたくさん抱えているから、これを貼り出してるところだったらしい。
「了解。店の前に貼っておけばいい?」
「頼む」
「了解。今後ともご贔屓に」
そう言って仕事に戻ろうとしたとき、朝海がなんとも言えない顔をした。なんだ?
「……私が一人で店に行くと、お前との“カップリング”で推してくる客がいるから、一人では行くなと、葵に言われた」
「……は?」
意味が分からなくて首をかしげたら、隣の婦警さんが吹き出した。
「……どういう意味か、分かるのか?」
朝海が聞くと婦警さんは口元を押さえる。
「わ、わかりますけど……すっごいわかりますけど……今説明したくないです。お二人共背が高くて、顔がイイから……なるほど……」
婦警さんは大きく頷いていたけれど、結局どういう意味なのかは教えてもらえなかった。
今度葵に聞こう。
朝海と婦警さんを見送って、ゴミを片付けたら午前中は終わり。
それが終わったら着替えて親父と合流する。
「親父ー、俺の鋏、どこ?」
「俺の道具差しに入れっぱなしだ。昨日借りた」
「親父の鋏、買い換えろよ」
「研いだらまだ使える」
「じゃあ研げよ」
準備ができたら運転席へ。親父が乗り込んだら車を出す。
今日は一日駅前の街路樹と花壇の手入れだ。
夕方には終わる予定だから、シャワーを浴びて着替えて、花音ちゃんとの約束に備えよう。
しばらく走ったところで親父が顔を上げた。
「そういえば今日、商店街の青年会があるんだ。藤乃、来れる?」
「無理。約束ある」
「由紀んとこの……花音ちゃんか。なら仕方ないな。たまには顔出せよ」
「ていうか、そういうのはもっと早く言ってくれよ」
「俺も行きたくねえから、ギリギリのまで忘れてんだよ」
「飲み会嫌いだもんね」
「飲むなら、気心の知れた相手と一緒のほうが楽しいだろ」
「それはわかる」
駅前に着いたらまずは雑草を刈り取る。
俺が大まかに刈って、親父が細かいところを丁寧に仕上げていく。
汗が止まらなくて、メガネがずり落ちる。それでもコンタクトにはしない。怖くて、無理。
子どもが使ってるような、後ろでゴムで止めるバンドを試してみるか……。見た目はイマイチだけど、メガネが邪魔なのも事実だし……。
雑草を片付けたら街路樹を刈り取る。落ちた枝を捨てて、次に低木も同じように形を整えて午前中はおしまい。
周りを掃いていたら、警察官に話しかけられた。
「藤乃」
「朝海か。どうしたんだ?」
「どうもしないが、見かけたから声をかけた。そうだ、ついでにこれを」
渡されたのは防犯ポスターだ。隣りにいる婦警さんがたくさん抱えているから、これを貼り出してるところだったらしい。
「了解。店の前に貼っておけばいい?」
「頼む」
「了解。今後ともご贔屓に」
そう言って仕事に戻ろうとしたとき、朝海がなんとも言えない顔をした。なんだ?
「……私が一人で店に行くと、お前との“カップリング”で推してくる客がいるから、一人では行くなと、葵に言われた」
「……は?」
意味が分からなくて首をかしげたら、隣の婦警さんが吹き出した。
「……どういう意味か、分かるのか?」
朝海が聞くと婦警さんは口元を押さえる。
「わ、わかりますけど……すっごいわかりますけど……今説明したくないです。お二人共背が高くて、顔がイイから……なるほど……」
婦警さんは大きく頷いていたけれど、結局どういう意味なのかは教えてもらえなかった。
今度葵に聞こう。
朝海と婦警さんを見送って、ゴミを片付けたら午前中は終わり。



