君に花を贈る

 寄り添って歩くふたりを見送って、あと2時間くらいで本日の営業は終わり。片付けて夕飯を食べて、ベッドに転がった。

「……連絡、するか」

 スマホをつついて、SNSの連絡先をスクロールしていく。いちばん下にあった瑞希の名前をじっと見つめた。
 文章を打っては消し、また打っては消しを繰り返して、気づけば30分。やっとの思いで送信した。

「はー……。って、うわ、もう返事きた」

 俺が送ったのは、悩みに悩んで絞り出した、たった一行。

『お前の妹、口説いていい?』

 返ってきたのは、スタンプひとつ。『OK』って吹き出しがついた、変な犬のやつ。もしかしたら熊か狸かもしれないけど。

「……そうか、OKか」

 小さくつぶやいて、目を閉じた。
 俺は――あの、かわいらしい女の子がほしい。
 最後に見た困った顔を、今度は笑顔に変えてみたくなった。