君に花を贈る

 畑にいた父に、藤乃さんの話をすると、

「さっき須藤から電話きたぞ。来週来るって言ってたから、うちで出せる苗の一覧、作っとけ」

 と指示がでる。

「わかった」

 仕事に戻ろう。
 突風はまだ吹きやまず、荒れ狂っているけれど、のみこまれないように、手を動かそう。藤乃さんの隣に行くためにも。


 その日の夜、ベッドに転がってスマホの写真アプリを開いた。
 画面の右下に並ぶ、あの二枚を見つめる。
 昼間、藤乃さんと撮ったツーショットだ。
 ここに私の顔いらないでしょ……。
 どちらの写真でも、藤乃さんは溶けるように微笑んで、私の肩にそっと寄り添っている。
 私も、あんな顔ができたらよかったのになあ。
 「好きで好きでたまらないんです」って顔、できたらよかったのに。
 ……それって、ちょっと図々しいのかな。
 写真をそっとタップして拡大する。……やっぱり、かっこいい。
 私はもう、藤乃さんのことが好きで好きでたまらない。
 藤乃さんも、同じ気持ちだったらいいなあ。……それだけで、すごく嬉しいのに。