その後、週に一度くらい私が須藤造園さんに顔を出すたびに、藤乃さんは一緒に花を運んでくれて、椅子とお茶も欠かさず勧めてくれた。
早朝の市場でも数日に一回は顔を合わせて挨拶をする。
そんなささやかなやり取りが続いて、二ヶ月ほど経ったころ。
朝ごはんを食べ終えてお皿を洗っていたら、玄関で呼び鈴が鳴った。
こんな朝早くに、誰だろう……?
まだ兄と母は市場から戻っていない。父は腰の様態が良くないからと、昨晩から検査入院中だ。
手を拭いて玄関に向かう。
「はーい……えっ?」
何も考えずに扉を開けたら、そこには藤乃さんがいた。
藤乃さんは、ぶかぶかの薄手のウィンドシェルを羽織って、いつもの笑顔を浮かべている。
「おはよう、花音ちゃん。お手伝いに来ました」
……なに、なんなの……?
私はぽかんと間抜けな顔のまま、藤乃さんの顔をただ見つめるしかなかった。
玄関の外で、季節外れの風鈴がチリンと鳴った。けれど、それよりも私の心臓の音のほうが、ずっと大きく響いていた。
早朝の市場でも数日に一回は顔を合わせて挨拶をする。
そんなささやかなやり取りが続いて、二ヶ月ほど経ったころ。
朝ごはんを食べ終えてお皿を洗っていたら、玄関で呼び鈴が鳴った。
こんな朝早くに、誰だろう……?
まだ兄と母は市場から戻っていない。父は腰の様態が良くないからと、昨晩から検査入院中だ。
手を拭いて玄関に向かう。
「はーい……えっ?」
何も考えずに扉を開けたら、そこには藤乃さんがいた。
藤乃さんは、ぶかぶかの薄手のウィンドシェルを羽織って、いつもの笑顔を浮かべている。
「おはよう、花音ちゃん。お手伝いに来ました」
……なに、なんなの……?
私はぽかんと間抜けな顔のまま、藤乃さんの顔をただ見つめるしかなかった。
玄関の外で、季節外れの風鈴がチリンと鳴った。けれど、それよりも私の心臓の音のほうが、ずっと大きく響いていた。



