男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される


「あー、あと……」
「まだいんのか!」

 なんとなく目を反らしながら続ける。

「知ってるっていうか……ザフィーリも藤花のことは知ってる、かな」
「はあ!? ザフィーリの奴が!?」

 案の定、勢いよくベッドから立ち上がりイリアスはデカい声を上げた。

「なんでだよ!?」
「えーと……実はオレがうっかり変身するの忘れて廊下でバッタリ会っちまって」

 ハハと苦笑するとその目が更につり上がった。

「何やってんだよ! てか、それいつの話だ?」
「あー、お前らが騎士に昇格してすぐくらい?」
「最近じゃねーか! で!? どうしたんだよ!」
 
 強い口調で先を促されて、やっぱり言うんじゃなかったかと少し後悔する。

(さすがに一目惚れされた、なんてのは言えないよなぁ)

 アイツの名誉のためにも、絶対に。

 指をいじりながら話していく。

「この部屋に入るところを見られてて」
「はあ!?」
「なんでここに女がいるのかって詰められて……咄嗟にオレの、トーラの妹ってことにした」
「妹ぉ!?」