男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される


(そういえば、ラディスから向こうの世界のことを訊かれたことは一度もなかったな)

 今ならその理由がわかる。
 昔から見ていたという夢で、私の世界を見ていたからだろう。

「こんな夜でも、ピってボタン押すだけで部屋の中が昼間みたいに明るくなるし」
「はあ!?」
「洗濯だってピって押すだけで全部機械がやってくれる」
「マジで!?」
「あと、こんな小さな機械で遠い国にいる人と話すことが出来たり」
「嘘だろ!?」

 いちいち反応が面白くて、ついこちらも調子に乗って色んな話をしていた。
 しばらくするとイリアスは驚き疲れたのか、ほぅ、とため息を漏らしながら後ろに手をついた。

「そんなすげぇ世界ならさ、きっと戦なんてないんだろうなぁ」
「!」

 私はゆっくりと首を横に振る。

「いや、戦は普通にある」
「え……」
「さっき、空飛ぶ乗り物があるって言ったろ」
「あ、ああ」
「それに乗って空から他の国を攻撃したり……すさまじい威力の兵器があって、それがあれば、あっという間にひとつの街を破壊することも出来る」