「でもそうなると、俺ら要らなくなるんじゃねーの?」
「馬鹿野郎、バラノスもこっちの国のもんになるんだぜ。あっちでの働き口も増えるに決まってるじゃねーか」
「あーそっか」
「なんだよ、いい事づくしじゃねーか!」
と、ツンツン頭が笑いながら言った。
「でもそう考えるとよ。あの魔女、案外この国にとっては聖女様だったのかもな!」
(――え?)
それを聞いて私は目を見開く。
「聖女様が現れた国は繁栄が約束されるってんだろ? まさにじゃねーか?」
確かに、このままバラノスに勝利したらこの国はそこまで勢力を伸ばすことになるのだろう。
経緯はめちゃくちゃだけれど、結果的にこの国の繁栄に繋がったことになる。
「それはねーだろ。トーラがいなかったら俺たちだって危なかったんだぜ」
「そっか。そうだよな。悪い、トーラ」
急に謝られて私は首を振る。
「い、いや」
「それを言うなら、むしろ俺らにとっちゃトーラの方が聖女様じゃね?」
ギクリとした。
「確かに」
その場にいる皆の視線が私に集中する。
なんだか妙な流れになってきて、私は慌てて反論した。
「な、何言ってんだよ! やめろよな。オレは男だっつーの!」
「――お前ら。俺のダチに変なこと言うなよ」
そう低い声で加勢してくれたのは、それまで黙っていたイリアスだ。



