男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される


 ぽんっ、と肩に大きな手が置かれる。

「俺らがこうして笑っていられんのはトーラのお蔭だもんな!」
「いや、それはもういいって」

 気恥ずかしくて、話を変えるように訊ねる。

「それより、あいつは? お前らの仲間の」
「ゼストーか?」

 ゼストーという名前なのかと思いながら頷く。

「そう、ゼストー」
「あいつはバラノスだ」
「えっ」

 目を丸くすると、ツンツン頭は続けた。

「急きょアイツにもお呼びがかかってな。喜び勇んで向かったぜ」
「そうだったのか」

(あいつも、バラノスに……)

 見習いも駆り出されたという話は本当だったのだ。

「ま、ゼストーのことだ。俺たちゃ誰も心配してねーけどな!」
「むしろ、アイツがやり過ぎねーかとバラノスの奴らを心配してるくらいだ」

 そしてまた笑い声が上がる。
 私が合わせて苦笑していると。

「でもよ、これでバラノスもおしまいだな!」
「漸く平和が訪れるってもんだぜ」

(平和……)

 確かに、これまで何度も繰り返されてきたというこのレヴァンタとバラノスとの戦争が終結すれば、平和が訪れることになる。