男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される


 一先ず腹ごしらえだと、私はイリアスに誘われ食堂へと向かった。
 ラディスのことは気になったが、ただ待っていても仕方ない。それに確かにお腹は減っていた。

 でも着いて驚いた。飯時はいつも人でごった返している食堂が閑散としていた。
 人の話し声よりも、カチャカチャという食器の触れ合う音の方が大きく感じる。

 一体どのくらいの人数がバラノス侵攻に参加しているのだろう。

「見習いも結構駆り出されたってよ」
「見習いも?」

 今日のメニューであるラザニアに似た料理を口にしながら向かいのイリアスが小さく言った。

 ……そこまでして勝ちたいのだろうか。
 それとも、見習いの参加許可が出るほどに楽な戦いだということなのだろうか。

 戦争。

 向こうの世界にいるとき、それはニュースで見る遠い国の出来事だった。
 でも、私が生きることに決めたこの世界のこの国では、今確かに戦争が行われているのだ。

 そして私は、そんな有事に戦場に出る騎士を目指している。
 目の前にいるイリアスだって……いや、彼はもう正式な騎士なのだから、この後戦場へ赴くことになるかもしれないのだ。

(イリアスは、バラノス侵攻のことをどう思ってるんだろう)