「なんだ、消してしまったのか」
イェラーキに乗り街を出てすぐ。
背後のラディスがぼそっと呟くのが聞こえ私は勢いよく振り返った。
「お前、わかってたなら言えよ! てか付けるなよ! イリアスに見られて赤っ恥かいたんだからな」
大声で怒鳴りたいところをぐっと抑え小声で文句を言うと、ラディスはしれっと答えた。
「それは良かった」
「はあ!?」
良かったとはどういうことだ。
こちらはとんでもなく恥をかいたというのに。
するとラディスはこちらに顔を近づけ言った。
「藤花は俺のものだと奴に見せつけられた」
「!? バっカじゃないのか!」
私は小さく怒鳴ってすぐに前に向き直った。
……前から意外と嫉妬深いんだなと思ってはいたが、ここまでとは思わなかった。
怒りと、よくわからない感情で顔が熱い。
「それで、あいつに部屋のことは言えたのか?」
「っ!」
私は前を向いたまま首を振る。



