男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される


「二年前、お前がこちらの世界に現れる夢を見て俺はすぐさまイェラーキを走らせた。そうして賊に襲われているお前を間一髪、助けることが出来たわけだ」

 今度は驚きが大き過ぎて言葉を失くしていると。

「良い眺めだが、いいのか?」
「え? ……あっ!」

 彼の視線を辿って胸が丸見えだったことに気付いた私は慌ててシーツの中に飛び込んだ。
 ラディスはふっと笑ってから、そんな私をもう一度強く抱きしめた。

「俺はずっと、お前に会うために生きてきたんだ。藤花」

 ――私に、会うために……。

 嬉しいのに、なんだか胸のあたりがきゅっと苦しくなって、私はその背中に手を回した。

 彼を抱きしめたいと思った。

 ……本当は、孤独だった幼い頃の彼を抱きしめたかったけれど、それは叶わないから。

「ラディス」
「ん?」

 私は今出来る精一杯の笑顔で言う。

「あのとき、助けに来てくれて本当にありがとう!」