「だから俺も、あの魔女の話を聞いたときには驚いた。お前のいうように、もしかしたら俺も聖女の血をひいているのかもしれん。だが、それを確かめる術はない」
「孤児って、なんで……?」
私が小さく訊ねると、彼は話してくれた。
「さぁな。物心ついたときには炭鉱で働いていた。他にも煙突掃除やら戦場での物取りやら……生きるためにはなんでもやった。我ながら、良く生きていたものだと思うがな」
胸が痛い。
……同じなんかじゃない。
私も孤児だけれど、全然違う。
私には保護してくれる施設があった。
贅沢は出来ないけれど学校にも通えたし、寝る場所も食べるものもちゃんとあった。
でも、ラディスにはそれがなかった。
「だが12の頃、俺はヴィオーラと出会った。彼女は俺をはじめて人間扱いしてくれた人だ」
人間扱い……その言葉だけで、それまで彼がどれだけ過酷な人生を送ってきたのか伺い知ることが出来た。



