男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される


 ――私たち聖女様の血を引く者が皆、夢に見たのです。

 フレージアが予言についてそう話していた。
 あのときラディスも物置の中でその話を聞いていたはずだ。

 ラディスがあの時、あの場所にいたことが偶然じゃなかったのだとしたら。
 ラディスも、二年前にその夢を見ていたのだとしたら……。

 じっと見つめたまま答えを待っていると、ラディスは目を伏せた。

「わからない」
「へ?」

 まさかの返答に私は間抜けな声を出していた。

「わからないって……?」
「確かに、夢は見た」
「!」
「二年前、お前があの森に現れる夢だ」
「なら! やっぱりお前も聖女の血を」

 私の声を遮るようにラディスは首を横に振った。

「俺は孤児でな。両親が何者なのか、どこで生まれたのか、何も知らないんだ」

 ゆっくりと目を見開いていく。

 ――ラディスが、孤児?

(私と、同じ……?)