男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される


「あ、あのさ」
「ん?」
「出来れば、トーラの姿に戻ってくれねーか? その、まだその姿に慣れなくて……」
「あ、ああ、そうだよな。わかった」

 私はすぐさまトーラの姿に戻った。戻ったという言い方もおかしいけれど。
 すると、イリアスはこちらを見て明らかにほっとした顔をした。

「でも、すげぇな。それも聖女の力なんだろ?」
「ああ」
「団長はいつから知ってたんだ?」
「ラディスには最初っからバレてたみたいだ」
「マジか。やっぱ団長すげぇな。俺なんて一年以上同室だったのに全然気づかなかったっつーの」
「実は、ラディスとはオレがこの世界に来てすぐに元の姿で会っててさ」

 イリアスが目を丸くする。

「そうなのか」
「そ。だから、男装しててもすぐにわかったみたいだ」
「へえ、そういうもんか……?」

 そして、イリアスはちょっと言いにくそうに続けた。

「あー、その……団長とは、付き合ってるんだよな?」
「!」

 ボンッと一気に顔が熱くなって、私は視線を落とす。

「い、一応……ごめん、それも言えなくて」
「や、そりゃ言えねーよな。……いつから?」
「結構、最近……」
「そ、そっか……」
「……」
「……」

 妙な沈黙が流れて、私はまだ赤いだろう顔で言った。

「そろそろ向こう行くか!」
「そ、そうだな!」

 そうして、私たちはラディスたちの待つ野営ポイントへと向かったのだった。