「トーラ……あー、トウカ?」
「トーラでいい」
ごしごしと目を擦りながら言う。
「そ、そっか? じゃあ、トーラ。俺の方こそ、お前が聖女だってわかってんのに黙ってて悪かった」
「……え?」
手を止め、ぱちぱちと目を瞬く。
「実を言うとさ、お前に呪いを解いてもらったときのこと、ほとんど全部覚えてんだ」
「え!?」
苦笑しながらイリアスが言う。
「だからさ、お相子ってヤツ? 俺だって、お前との関係がおかしくなるのが怖くて言い出せなかったんだからな」
(ラディスの言った通りだったんだ……)
そして、すぐに思い当たったのは。
「じゃあ、オレを守るとか言ってついて来たのも、オレが聖女だから?」
「や、それは……」
イリアスは視線を逸らし、しどろもどろに続けた。
「それもあるっちゃあるけど、それより、あのとき助けてもらった恩を返したかったし、友人としてもお前を守りたかったし……と、とにかくお前のことが心配だったんだからしょうがないだろ!」
少し顔を赤くして声を荒げた友人を見て、私は思わずふっと笑ってしまった。
「ありがとう。やっぱお前、良い奴だな」
「……っ」
と、イリアスはまた慌てたように私から視線を外してしまった。



