男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される


「何度も言おうと思ったんだ。でも、お前と気まずくなるのが嫌で、言い出せなかった」

 これまで嘘をついてきた分、全部本音で全部正直に話していく。

「でも、お前をずっと騙していたのは事実だ。どの口がって思われても仕方ないけど、でも私は……オレは、これからもお前と友達でいたいって思ってる!」

 反応が怖くて、顔が見れない。

 少しの間沈黙が続いて、その時間が私にはとてつもなく長く感じられた。

「……友達、か」

 ぽつりと返ってきたその呟きにどきりとする。

 ……やっぱり、このまま友達でいたいなんて、虫が良すぎるだろうか。

 手が震えそうになって、ぎゅうと強く握り締める。

「俺は、お前のこと親友だと思ってんだけどな」
「!」

 顔を上げると、イリアスは笑っていた。

「お前は違うのか?」

 訊かれて、私はぶんぶんと首を横に振る。

「オレも、お前のことは親友だと思ってる!」

 するとイリアスは少し照れくさそうにくしゃりと笑った。

「良かった」

 そのいつもの親友の笑顔を見て、ついうっかり涙腺が緩んでしまった。

「うわっ、なに泣いてんだよ!?」

 慌てた様子でイリアスが立ち上がる。
 私も、まさか涙が出るとは思わなくて焦って顔を覆う。

「良かったは、こっちのセリフだっつーの……っ」

(本当に良かった……!)

 これからもイリアスとこれまで通り友人でいられるのだ。
 嬉しくて、ほっとして、私はそのまま格好悪く泣いた。