男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される


 上空から元気そうな先輩たちと馬の姿を確認してほっとする。
 本当に皆眠らされただけだったようだ。
 このまま皆の前に降りるわけにもいかず、私は少し離れた森の中に静かに降り立った。
 途端、イリアスはその場にへなへなと座り込んでしまって慌てて謝る。

「大丈夫か? ごめん、まさかそんなにダメだとは思わなくて」
「……」

 すると、イリアスはゆっくりとこちらを見上げた。
 その色んな感情の折り混ざった目を見て、私は改めて緊張を覚えた。

 ――今度こそ、ちゃんと話さなくては。

「あ、えっと……」

 でも、何から話そう。どこから説明しよう。
 そして、どう謝ろう。

「俺は先に行っている」
「え?」

 その不機嫌そうな声に振り返ると、ラディスが騎士団長の顔つきで言った。

「ちゃんとトーラの姿で戻ってこい」
「わ、わかりました!」

 私はそんなラディスの背中を見送る。
 きっと、気を遣ってくれたのだろう。

「団長は、いつから知ってたんだ?」
「!」

 視線を戻すと、イリアスがじっとこちらを見つめていて。

「お前が、聖女だって」

 その言葉に覚悟を決め、私はガバっと頭を下げた。

「ごめん! 今までずっと黙ってて」

 出会ってから一年と少し、私はずっと彼を欺いてきたのだ。

 怒るかもしれない。
 許してくれないかもしれない。
 もう、友達には戻れないかもしれない。

 ――怖い。