男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される


 そして一先ずフェリーツィアの家にふたりを運ぶことになったのだ。
 それを手伝ってくれたのもダフニさんに頼まれた村の男たち。

 私が聖女の力でふたりいっぺんに運ぶことも考えたけれど、バレているとは言えあの場で元の姿を、そして聖女の力を晒す気にはなれなかったので正直助かった。

 ――この村でダフニさんの存在がいかに絶大であるかがわかった。

 そんな彼女はつい今しがた「また明日来ます」と言ってあの女性に支えられながらまた自宅へと帰っていった。
 彼女の家はこの家のすぐ隣なのだそうだ。

(ごめんな、ラディス、イリアス……)

 扉の向こうにいるふたりに心の中で謝る。
 ふたりは任務のため、そして私を助けるためにここまで来てくれたのに、こんなことになってしまった。

 完全に私の中に出来た迷いのせいだ。

(これからどうしよう……)

 小さく溜息が漏れる。
 国王様直々に与えられた初任務だと、城を出るときはあんなに張り切っていたのに。