男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される


「まさか、聖女様が騎士になっているだなんて……」

 妹のフェリーツィアから簡単に事情を聞いたフレージアが愕然と呟き、そのまま力なく椅子に腰を下ろした。

(まだ見習いだけどな)

 そう心の中で補足し、背にしている扉にコツンと後頭部をつける。

 私は再びフェリーツィアの家に戻ってきていた。
 ラディスとイリアスのふたりは今この扉の向こう、狭い物置部屋の中で背中合わせに縛られ眠っている。
 勿論、武器である剣は取り上げられて。

 ――あの後、眠ってしまったふたりをこのまま殺してしまえという声が上がり、私は青くなった。
 この村で騎士は想像した以上に恨まれているようだった。
 このままではマズイと私は聖女の力を使ってこの村から逃げようと考えた。
 しかし、そんな村人たちを鎮めてくれたのはダフニさんだった。

「彼らの処遇は私が決めます」

 彼女が穏やかな口調で言うと、声を上げていた村人たちも皆渋々納得したように解散していった。