男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される


「まさか! 結界が破られるはず……っ」

 フェリーツィアが悲鳴のような声を上げた。

(結界?)

 フヌーディが青い顔で続ける。

「そ、それが、フレージアの奴が人質になってるらしくて」
「姉さんが!?」

 フェリーツィアの姉はどうやらフレージアと言うらしい。
 と、フヌーディの視線が私に移った。

「仲間を返せって」
「!」

 やはり彼女はあのときラディスに捕まったのだ。
 そして、いなくなった私を取り返すためフレージアに案内させてこの村までやって来たのだろう。
 そこまで見当をつけ、私はベッドから降りた。

「騎士って何人だ?」
「ふたりって聞いたけど」

 ……ふたり。

(ラディスだけじゃないってことか)

 もうひとりが誰なのかわからないが、とりあえず私は一度深呼吸して目を閉じトーラの姿に変身した。
 目を開けるとフヌーディが男の姿に変わった私を見て目を丸くしていて。

「藤花?」

 フェリーツィアが戸惑うように私を呼んだ。