男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される


「そういえば、バラノスの騎士団もあんたが?」
「いえ、バラノスには私の姉が入り込んだの」
「姉?」

 お姉さんがいるのかと思って、そのすぐ後でハっとした。

「えっ、もしかして、さっき森の中にもうひとりいた?」
「そう。あれが姉。双子なの、私たち」
「双子!?」

 ――そうか。だからか。
 逃げて行ったはずのフェリーツィアが突然背後に現れたのはそういうわけだったのかと合点がいった。

「え、それで、そのお姉さんは?」

 訊くと、彼女の顔が曇った。

「それが、まだ帰ってきてなくて」
「え……」

 ……確か、あのときラディスが彼女を追っていったはずだ。

「ラディスに、捕まった?」
「いえ、それはないはず。あの姉が、普通の人間に捕まるはずが……」

 そんな会話をしているときだった。
 俄かに家の外が騒がしくなった。
 窓の外に、ちらちらと灯りが見える。

「なんだ?」

 それまで黙って私たちの話を聞いていたフヌーディがドアを開け外へと出て行った。
 フェリーツィアがそれを見送りながら不安そうに呟く。

「姉さんが戻ってきたのかしら」

 それから間もなくしてバンっと勢いよくドアが開かれ、血相を変え戻ってきたのはフェリーツィアの姉ではなく、フヌーディだった。

「――き、騎士団の奴らが村に入ってきやがった!」
「!?」