口から出たその声を聞き、自分が藤花の姿のままなことに気づく。
(そうだ。あのときいきなり意識が遠のいたから……)
「ほら~、めっちゃ警戒されてんじゃん」
先ほど私を覗き込んでいた同い年くらいのおかっぱ頭の青年がこちらを無遠慮に指差した。
「うるさい。あんたはちょっと黙ってて」
そんな彼に向かってきつく言ったのはフェリーツィアだ。
(全然キャラが違うじゃないか!)
ドレスが汚れてしまったと可愛らしく叫んでいた彼女を思い出し、私は呆れた。
きっとこちらが地なのだろう。
やはり彼女は私たちを騙すためにずっと猫を被っていたのだ。
ぎりと拳を握っていると、彼女は私に視線を戻し緊張したような顔で言った。
「まず、手荒なことをしてごめんなさい」
「まずはこっちの質問に答えろ。仲間と馬はどこだ。無事なんだろうな」
すると、彼女は目を大きくしたあとでふぅと息を吐き頷いた。



