男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される



「……!」
「……!?」

 ――誰かの声が聞こえる。

「……のか?」
「……よ!」

 複数の人が言い合うような声を聞きながら、私はゆっくりと意識が浮上していくのを感じていた。

 今のは夢だったのか。
 少しホッとして、でもまだ胸の痛みははっきりと残っていて。

(ほんと、最低だよな……)

 ……もう、朝なのだろうか。
 それにしては瞼の向こうが暗い。今日は天気が悪いのだろうか。
 それともまだ夜なのだろうか……?

「だから間違いないよ! この子が聖女だって!」

(!?)

 その声で私はハッと目を開けた。

「……あ、起きた」

 最初に見えたのはこちらを見下ろす知らない青年だった。

「えっ」

 そんな短い声と共に次いで視界に入ってきたのは、先ほど見たふわふわの金髪……。

(フェリーツィア!?)