男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される


 首を傾げると彼が小さく口を開いた。

「お前、ずっと俺を騙してたんだな」
「え……」

 どきりとする。
 軽蔑したような目で彼が続ける。

「一番のダチだって言ってたくせに」
「そ、それは……っ」
「俺が聖女様の話をするのを見て、心の中で笑ってたのか?」
「そんなことない!」

 大きく頭を振るが、イリアスはひと言告げた。

「最低だな」
「……っ」

 ズキリと胸が痛む。

 まただ。
 また、何も言えない。何も言い訳できない。
 彼の言う通りだから。

 そんな私を置いて、彼は背を向け行ってしまう。
 私はそれを追いかけることも、声をかけることも出来なかった。

(ごめん……ごめん、イリアス……っ)

 闇の中、またひとりになって私は顔を覆った。