「何かは、わからないけど……」
ラディスがそちらに視線を送り、潜めた声で言う。
「俺には何も見えんが……やはり幻術の類か」
「このまま続けてみる」
「頼む」
そうして私は再びそちらの方に向け更に強く念じはじめた。
少し距離はあるが、イリアスの呪いを解こうとしたとき離れていても一応効果はあった。
だからきっと、いけるはずだ。
( 幻術よ、消えろ! )
そして、イリアスたちを返してくれ……!
瞼の向こうで気色悪く蠢いていた闇に、そのとき異変が起こった。
皆の呪いを解いたときと同じだ。
それは嫌がるように大きくうねうねと動き始めたかと思うと、ついには放射状に勢いよく霧散していった。
「――なっ、なんで!?」
私たち以外誰もいないはずの森の中から、そんな甲高い悲鳴が上がった。



