男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される

 マントの下で元の姿に戻った私は、あのときのように目をつむり集中する。

( 魔女の術よ、消えろ )

 最初は瞼の裏の闇しか見えなかった。
 どこを見回しても、ただ暗い闇があるだけ。

 でも、とある方向を向いたときだった。

「!」

 その闇がざわりと蠢いた気がして、ぞわっと全身に鳥肌が立った。
 私はマントの下からその方向を小さく指差す。

「あっちに、何かある」
「!」